模型船の波浪中自航試験では、波との出会い周期が船の固有ピッチング周期に近いとき、船首船底が波の山に衝突して水面衝撃を受けていることが観測され、同一の波長でさらに速力を上げると波の山による船底衝撃の位置がだんだんと後方に移って行くことが分かる。このとき、船首で上向きの最大加速度が計測され、船尾では下向の加速度が計測されるのが普通である。
図4.5.1は、ある高速艇の重量分布を模型的に示したものである。この艇が船首において上向き加速度6g、船尾において下向加速度−1.5gを受けた場合、船体が剛体であると考えれば船体各部に加わる力は図4.5.3の様になる。これに対して、波浪により船首に衝撃水圧を受け、船体の回転運動に対する反力として後部に分布水圧を図4.5.4のように受けるものと仮定する。船首における衝撃力は後に述べる6gに相当する最大衝撃水圧Poに対し、船体の幅一杯にとった有効静止水圧は1/9Poであるとし、長さの方向分布を三角形とする。
図4.5.4
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